山内鮮魚店店長のヤマウチです。
ご存知の方も多い、8月25日から南三陸町中心部に設置されている「きりこ」。
仕事もようやく一段落つきましたのでご紹介しますね。

 

通常は紙でデザインする「きりこ」ですが被災地中心部に建てられたキリコは
雨風に強い材質でできています。
以前の自宅や店舗跡地に建てられたキリコには
家主達の復興へかける想いが込められているのです。

「きりこ」

宮城県塩竈市以北から三陸地方南部では、神社の神職が正月の神棚飾りのために
縁起物を切り抜いた半紙「きりこ」や飾り幣束などを、暮れに氏子に配布する風習があります。
神社ごとに伝わる「きりこ」のデザインはそれぞれ異なり、いずれも非常に美しいものです。
漁業がさかんな南三陸町では、「きりこ」を神棚に一年を通して飾る家も多くあります。

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まずは当店「山内鮮魚店」のキリコ。以前の港近くにあった店舗跡地に建っています。
キリコの中では一番海に近い場所。「笑顔絶やさず、海とともに生きる」。
震災後、スタッフ一丸となって笑顔で営業を続ける当店の強い想いが込められています。
左側は当店復興地酒のラベルに使用しているデザイン。
魚とタコ、広大な海と輝く太陽をモチーフにしています。

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同じく「おさかな通り」に店舗を構えていた海産物店「かね久海産」さんのキリコ。
「海の幸で、百年の伝統をつなぐ」。こちらも震災後、元気に営業しています。

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こちらも同じく「おさかな通り」に面していた衣料品店「アベロク」さんのキリコ。
「糸をつむいだ昔、縁をつむぐ今」。アベロクさんご夫婦も南三陸さんさん商店街で元気に営業してます♪

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こちらも「おさかな通り」にあった鮮魚店「マルセン」さんのキリコ。
「里海の恵みと、美しい風景を未来へ」。
店舗を拡大してすぐの被災にもめげず、南三陸さんさん商店街で営業を再開しています。
蒲鉾の製造も一部再開しています。

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コチラは震災前、マルセンさんのお隣で営業していた飲食店「潮彩(しおさい)」のキリコ。
「まちの食卓におかずを移動販売中」。
旬の魚介類を惜しげもなく使った料理を提供し、町一番の賑わいを見せていた潮彩さんも、
現在は移動車で「お惣菜」を中心に販売、頑張っています!

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こちらも「おさかな通り」からちょっと入った場所に店舗があった「そば処 京極」のキリコ。
「変わらぬそばの味、変わらぬこだわり」。京極さんも南三陸さんさん商店街で営業中。
独特の甘めのタレと緑の蕎麦が、かわらぬ人気です。

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「ここがわたしのふるさと」。南三陸さんさん商店街で営業を再開した「わたや」さんのキリコ。
復興Tシャツや復興バッグが人気のお店です。

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こちらはギフト商品等を扱っていた「コンケイ」さんのキリコ。
「ここに生きて来た幸せ、ここに生きて行く喜び」。
彼らの南三陸を思う強い想いが込められています。

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「うまい蒲鉾、作りつづけます」南三陸で蒲鉾店を営んでいた及善蒲鉾店さんのキリコ。
現在は南三陸さんさん商店街と登米市に店舗を構え、精力的に営業を再開しています。

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こちらは五日町商店街メインストリートに店舗を構えていた文房具・事務用品「フレンズ」さんのキリコ。
「生きる喜びを分かち合いながら」。
様々な悲しみを乗り越え、笑顔で営業を続けるご夫婦の想いが伝わってきます。
フレンズさんも南三陸さんさん商店街にて営業を再開しています。

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「いこいのいっぷく、ふれあいのいっぷく」五日町商店街にあった阿部茶舗さんのキリコ。
いつも店先に立っていたおじいちゃんの優しくて穏やかな笑顔を思い出します。
阿部茶舗さんも南三陸さんさん商店街にて営業を再開。

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「みんなの笑顔を、写真に焼きつけて」。南三陸から〜でおなじみの佐良スタジオさんのキリコ。
息子のお宮参りの時の写真を撮影したもらったのがこの場所で最後の撮影でした。
二階にあった写真スタジオの雰囲気と匂いを今でも覚えています。
佐良スタジオさんも南三陸さんさん商店街にてスタジオを構え営業を再開しています。

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「ひと針ひと針、吊るしびなぬっています」。こちらは五日町商店街にあった
阿部旅館さんのキリコ。現在旅館は再開していませんが皆さん元気に働いています。

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かつて様々な店舗があった五日町商店街。ここから港へ続く道は南三陸町のメインストリートでした。

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そしてかつての「おさかな通り」。海産物店や飲食店が軒を連ねるこの通りは
満潮時、夕時になると浸水は始まります。
震災後、建物がなくなってしまった今でも思い出す風景がここにはあります。

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南三陸町防災庁舎。

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南三陸志津川港 内湾。

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久しぶりに自社工場の屋上へ登りました。破壊された港、震災直後と変わらぬ風景です。

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夕暮れ時。浸水し始めるかつての町並み。

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「父のパン復活、次代へバトンをわたす」。南三陸町防災庁舎近くに店舗があった雄新堂さんのキリコ。
震災後、不屈の精神で一からパン造りを覚えたご主人のパン。南三陸町さんさん商店街に復活した
店舗でご購入頂けます。

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「船と人でにぎわった、町の記憶を未来へ」雄新堂さんのお迎えにあった松月旅館さんのキリコ。
旅館は再建していませんが皆さん元気で暮らしています。

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「のり太郎復活、姉妹も元気」すごく分かりやすいキリコは、おなじみ千葉のり店さんのキリコ。
のり太郎も復活し、品切れ続きのようです。ご姉妹もとても元気♪
南三陸さんさん商店街にて精力的に営業を再開しています。

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「祝福の記憶を高台の食堂につないで」。
こちらは南三陸唯一の料亭だった「静江館(せいこうかん)」のキリコ。
見事な日本庭園を眺めながらの祝い事にか欠かせない場所でした。
僕も小さい頃、毎日のように遊びに行っていた場所。
静江館の名は、震災後当店が受け継ぎ「食堂」として営業を再開しています。

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夕暮れの風も少し涼しくなり、南三陸も秋の気配がしてきました。
震災からもうすぐ1年と6ヶ月。
ここに暮らす人間として、被災地は何も変わっていない事を改めて感じています。

 

キリコにのせた南三陸町民の想いを、もっともっと多くの方々に知って頂きたい。
かつての元気な港町に戻る日まで、我々は頑張り続けます。
報道が減っても、被災地はまだまだ変わらないという事を知って下さい。
そしてたくさんの方々に、南三陸に足を運んで頂きたい。

◆南三陸の海に思いを届けよう

9.11(火) 14:45〜15:30

会場 南三陸町五日町/南三陸商工会敷地

 

震災から1年6ヵ月が経つこの日、南三陸の海に向かい、愛すべき亡き人々、
いまだ海にいらっしゃる方々に、思いを届けたい。
海に向けて、流失した町から音楽を奏でる。また、五日町周辺には、巨大な「きりこ」を海に向けて展示する予定。
今、苦難の時を力を合わせて生きている人たちの証が海に力強くメッセージを伝える。
出演/鈴木美紀子 佐藤正隆 渡辺祥子

http://www.envisi.org/20120911/